最近、私は3度目の沖縄訪問をした。これまでのすべての沖縄旅行は、自国で二流市民のように扱われていることに対する沖縄県民の抵抗に対する私なりの支援のつもりであった。
17世紀初頭、九州の薩摩藩に侵略されその属国になるまで、沖縄は現在の中国や日本の各地との交易で成り立っていた平和な小王国であった。その後、1868年に徳川幕府から天皇が日本の絶対的統治者として復権した数年後、沖縄は日本に併合された。沖縄の人々の真の苦しみがこの頃から始まり、未だに中央政府によって不当に扱われているのを見ると、今日もそれが続いていることが明らかである。
第二次世界大戦の終盤、日本の沢山の都市部が米軍戦闘機によって爆撃され多くの犠牲者が出たが、沖縄は唯一民間人が激しい地上戦に巻き込まれた戦場になった。日本軍指導者たちは、米軍が日本本土に到達するのを一日でも遅らせるため、沖縄での地獄のような戦いができる限り長引くようにしたのだ。 言い換えれば、沖縄の人たちは自分たちの政府によって人間の盾として利用されたのだ。そこでは住民の25%もの人々が戦闘に巻き込まれて命を落としたと言われている。日本の無条件降伏後、戦争を生き延びた沖縄の人々はしばらくの間米軍によってキャンプに入れられた。一方、米軍は島の至る所に滑走路や軍事基地建設の為、彼らの土地を没収した。彼らが釈放された時、農業では食べて生けないほどの土地しか残っておらず、多くの人々は結局生きる為に、米軍基地で働くことを余儀なくされた。
その後1952年、サンフランシスコ講和条約の調印により、日本は独立することを認められた。だがそれは沖縄が米国の支配下に残る条件の下であったのだ。 1945年以来、日本全国に多くの米軍基地が建設されていたが、それらはいくつかの空軍と海軍基地を除いて、残りは徐々に沖縄に移された。
沖縄の人々は米軍の統治下で苦しんだ。 彼らは日本本土で享受されていたような人権を享受することはなかった。彼らが米国の管理下にあっても、米国の法律によって保護されていたのではなかった。例えば、もし米軍人が強姦あるいは殺人のような重い犯罪に問われても、彼らは通常、日米地位協定の保護下で刑罰を免れた。このように、沖縄の人たちは誰にもその悔しさを訴えらず、理不尽な不正に耐えるしかなかった。
沖縄の忍耐力は限界に達し、特に1960年代後半にはアメリカの軍事支配に対して反乱が頻発し、その結果1972年に沖縄は日本に返還された。 ほとんどの日本人が1952年以来、米軍基地のない環境を享受していたように、沖縄の人々もそれを望んでいたのだ。しかしながら、日本復帰後も、沖縄での米軍基地の状況は変わらなかった。それは沖縄の人々にとって大きな失望だった。 その為数年前まで、沖縄には日本に存在するアメリカ軍基地の74%があった。最近、沖縄北部の広大な亜熱帯林が日本に返還されたため、沖縄の米軍基地の割合は約70%に減少している。 この森は、1960年代、若い海兵隊がベトナムに派遣される前、ゲリラ戦の訓練を受けた場所だったのだ。
沖縄は日本の国土面積のたったの0.6%を占めるにすぎないが、日米安全保障同盟の下では米軍基地の70%を提供することを余儀なくされている。 これは、日本政府がいまだに米国との安全保障条約を維持するために、沖縄県民に大きな負担を強いているためである。 沖縄の人々が、多くの米軍基地に伴う騒音と、日本の刑法圏外の故郷から離れた若い軍人が引き起こす犯罪に対して我慢を強いられている状況を、私たちは容易に想像できる。
沖縄にある米軍用滑走路の一つは、海兵隊用の普天間基地で、それは人口密集地域にある(上記の写真を参照; daisala.blogspot.com より)。 当然のことながら、事故が発生したとき、その地域の住民は高い代償を支払わなければならないし、又事故は頻繁に起きる。したがって、普天間基地は世界で最も危険な飛行場だと言われている。 だからこそ、沖縄の人々は普天間基地を一日も早く閉鎖し、土地を元の所有者に戻すことを要求してきた。 彼らは、代替基地が必要ならば、沖縄県以外に建設してほしいと望んでいるが、日本政府は新しい米軍基地を受け入れる用意がある県を見つけられずにいる。
沖縄には、アジアで最大の米空軍基地と言われる嘉手納基地がある(上記の写真を参照: http://www.okinawatimes.co.jp より)。ところが米空軍と海兵隊はその基地を共有しようとはしない。その為、普天間の代替基地として、安倍首相は、沖縄の辺野古に新米軍基地の建設を強行に推し進めている。それは美しい珊瑚礁とその地域特有の海洋動物の宝庫である手付かずの大浦湾に面している場所である(下記の写真を参照:Wikipedia より)。
安倍首相は、大浦湾を埋め立てするため、他の島々や、遠く離れた本州からも岩石や土砂を運び出そうとしている。このことによって、大浦湾の貴重で壊れやすい環境を破壊するだけでなく、大量の土砂や岩石が運び出されようとしている島々の自然環境の破壊にもつながる。
安倍首相は、他の都道府県が新たな米軍基地の受け入れに同意しないことを理由に、沖縄に新米軍基地を強いることを正当化しようとする。 しかし沖縄の人たちは過去20年間、この提案にはっきりと大声で「ノー」と言ってきた。 安倍首相や、第二次世界大戦以来殆どずっと日本を支配してきた自民党は、なぜ沖縄の人々の悲痛な叫びに耳を傾け、彼らの民意を尊重しないのか? 我々すべての日本人は、国民すべての平等と尊厳が尊重されるよう、要求する義務がある。