東京医科大学による入試時点での性差別

文部科学省の統計によると、2018年5月時点で、学士課程に於ける女性の比率は45%に達し、これまでで最も高かったそうだ。 修士課程と博士課程でも、これまでで最も高く、それぞれ31.3%と33.6%に達した(https://www.asahi.com/articles/ASL825K6WL82UTIL03R.html?iref=comtop_list_edu_n01,2018/08/02)。 このように、高等教育機関に於ける女性の比率が高まっている傾向にあるにもかかわらず、有名私立大学である東京医科大学では、女性の入学を制限していたという事実が最近発覚した。東京医科大学A

その医科大学では、女性の入試点数から10-15%ほど差し引くことで、彼女たちの入学を制限していたようだ。このような不正は、女性合格者の比率が2010年に38%に達した後、2011年頃に始まったそうだ。(”Tokyo medical school ‘changed test scores to keep women out’”, The Guardian、2018/08/04)。

その医科大学への2018年の応募者は、全部で2,614名あり、うち男性は1,596名(61%)、女性が1,018名(39%)だった。マークシート形式の第一次試験後、303人(67%)の男性と148人(33%) の女性、合計451名の応募者が面接と小論文による第二次試験へと進んだとのこと。この段階では、男性応募者の19%(303/1596)が最終段階の二次試験に進んだのに比べ、女性の応募者は14.5%(148/1018)だった。第2次試験後は、141人の男性(82.5%)と30人の女性(17.5%)、合計171人の応募者が合格した。これは下のグラフに示されているように、男性応募者の8.8%(141/1596)と女性応募者の2.9%(30/1018)のみが入試に成功したことになる。(https://www.asahi.com/articles/ASL8254KNL82UTIL02G.html, 2018/08/02)。

東京医科大学男女別の合格率

医科大学による不正な性差別は、先月発覚した大学の理事と文科省の高官が関わったとされる他の違法行為に関する調査過程で明らかにされた。その事件は、大学側が文科省高官の息子の裏口入学の保障と引き換えに、文科省が権限を持つ政府の補助金を確保する、という不正だった。

このスキャンダルが最初にメディアで報道されたとき、その医科大学で現在勉強中の女子学生だけでなく、男子学生も大学正門前でデモを行い、大学側に対し、そのような差別行為を直ちに停止し、徹底的な調査を行うよう要求した。 日本女医会会長である前田佳子医師も、より多くの女性を労働市場で活躍させるために安倍首相の下で2016年に施行された「女性活躍推進法」を引用し、この差別慣行を非難した。 更に、佛教大学の憲法学教授である若尾典子氏も、この慣行は、差別を禁止し職業の自由を保障する日本国憲法第14条および第22条にも抵触する、と指摘している(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018080502000121.html)。

大学の責任者は、これまでの不当差別行為に対し謝罪した。 しかし、彼らは、女性が結婚後に中退したり、出産後は離職する可能性が高いという理由で、慣行を正当化した。なぜなら、医大は系列病院に医師を派遣しなければならず、入試の結果だけを厳密に評価しただけで入学を決定すれば、将来、深刻な医師不足に陥るだろうとの恐れがあったそうだ(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018080390070239.html)。 確かに、厚生労働省のデータがその懸念を裏付けている。データによると、 医師免許取得から12年後の男性医師の89.9%が医療分野に留まるが、女性のその割合は73.4%だそうだ(http://www.tokyo-np.co.jp/national/list/201808/ CK2018080302000139.html)。

私が悲しく思ったのは、この差別事件が発覚した後、女医を対象としたウェブマガジンの出版社が実施したアンケート調査の結果だ。合計103人の女医から回答を得られたそうだ。それによると、回答者の18.4%が、東京医大の差別対応に「理解できる」と、更に46.6%が「いくらか理解できる」、と答えたそうだ。 彼女たちは、東京医科大での性差別を完全に支持しているわけではないが、医療機関がスムーズに運営されるためにはスタッフの確保が必要だと言う、難しい現実に対し、諦めのような気持を抱いているかのようだ(https://www3/nhk.or.jp/news/html/20180808/k10011568421000.html).

女医たちが産休を取る時、不当に非難を受けたり、やましい気持ちにさせられているようだが、十分な数の医療スタッフを確保できない状況は、私に言わせれば、それは主に国家や医療機関レベルでの人事計画担当者の怠慢や失敗によるものだ。彼女たちは、どの職業へも自由と平等に参入することを認められるべきだし、それを要求する権利も有する。更に、結婚や出産後も引き続き仕事が出来るよう、彼女たちにとって働きやすい職場環境を要求することも可能であるはずだ。他のOECD諸国の女性よりもはるかに重い家族的責任を担うことが知られている日本女性にとって、これは特に重要である。 実際の所、政府は現在、人口減少のスピードを遅らせようと、出生率を上げようと躍起になっているのではなかったのか?また政府は、経済政策の一環として、より多くの女性が「輝き」、経済的成長に寄与することを望んでいるのではなかったのか? 政府のスローガンが単なる空しい約束にならないようにするためにも、女性は具体的な要求をもって声を出し続けなければならない。

上記の要求に関しては、医療専門職の女性だけでなく、すべての経済分野のあらゆるカテゴリーの労働者は、政府に対し、日本は既に1995年に、ILO条約156号(家族的責任を有する労働者条約)を批准した事実を指摘、念を押すべきだ。批准国には、家族的責任を負う労働者が差別の対象にならずに就労することを可能にする、公的または私的なコミュニティー・サービスを提供するための国家政策を策定することが要求されている。1995年の批准以来、この点に於いて、日本ではどのような進歩が見られたのであろうか、とつい考えてしまう。

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